こんにちは! 男美薬機研究所です。
2024年、薬機法違反案件は前年比1.8倍に跳ね上がり、行政指導の4件に1件がメンズ美容系広告という厳しい状況に直面しました。
勢いづくメンズコスメ市場の裏側で、訴求表現の“地雷”を踏みブランド価値を失墜させるケースが後を絶ちません。
そこで今回の記事では、デジタルマーケター視点で “攻め”のコピーと “守り”のコンプライアンスを両立させる LP チェックリストを公開します。
実際の行政処分事例を分解しながら、医薬部外品と化粧品の境界線、効能効果を謳える範囲、エビデンス提示の作法までを整理。さらに、ストーリーテリングと CTA を矛盾なく結び付ける見出し構成テンプレートや、社内審査を高速化するレビューシートもダウンロード可能です。
初心者担当者でも迷わないよう、チェック項目ごとに具体的な NG 例・OK 例をビフォーアフターで例示し、ステークホルダー説明用の図解も交えて情報断絶を防止。
法改正スケジュールと行政通知の読み解き方をカレンダー形式で網羅し、2025年以降のトレンド予測にも触れながら、薬機法を“足枷”ではなく“武器”に変えるコピーライティングの勘所をお届けします。
薬機法を取り巻く最新情勢とメンズコスメ市場
市場拡大と規制強化が同時進行する背景
メンズコスメ市場は 2020 年代半ばに入っても勢いを落とさず、2024 年には約 1,800 億円規模に達したと推定されています。この急成長を受け、厚生労働省や消費者庁は表示・広告の取り締まりを強化し、ブランド側のコンプライアンス体制にかつてないほど大きな関心が寄せられるようになりました。ユーザーの購買理由が「悩みの解決」という機能面に寄りやすいメンズコスメは、表現が過熱しやすいカテゴリーです。その結果、誇大広告と判断されて行政指導を受けるブランドも増えています。
行政処分データで読む“危険ゾーン”
2021 年 8 月の改正薬機法で課徴金制度が導入されて以降、違反商品の売上に対して一律 4.5%の納付を命じられるケースが増えました。資本力の小さな D2C ブランドにとっては、数百万~数千万円単位のキャッシュが突然流出する大きなリスクです。さらに 2024 年秋には景品表示法のステルスマーケティング規制が全面施行され、インフルエンサー投稿や UGC にも薬機法の視線が注がれています。インフルエンサー側が勝手に誇大表現を行った場合でも、広告主が連座する恐れがあるため、契約段階でチェック基準と修正フローを明確にしておくことが欠かせません。
医薬部外品と化粧品の境目を再確認
効能効果の定義とグレー表現の境界線
医薬部外品は厚労省が承認した効能を表示できますが、化粧品は“人体に対して緩和な作用”に限定されます。化粧品が標榜できる効能効果は 56 項目に整理されており、「ニキビを治す」という治療ニュアンスは原則 NG です。一方で「洗顔によりニキビを防ぐ」といった“未然に防ぐ”表現であれば許容範囲となります。グレー表現を避ける最短ルートは、56 項目の一覧と自社訴求をつねに照合作業することです。
改正薬機法(2023〜2025)の要点とスケジュール
2023 年春の省令改正によって広告審査の電子申請がスタートし、2025 年 4 月から完全義務化される予定です。また、違反常習企業に対する課徴金割増(最大 1.5 倍)も導入され、即時是正だけでは済まない時代へ移行しています。ブランド担当者は改正スケジュールを逆算し、手続きや内部ルールを確実にアップデートする必要があります。
メンズコスメ LP 薬機法チェックリスト大全
要素別チェック項目と NG/OK 例
見出し・キャッチコピー
- NG 例:「たった 3 日で青ヒゲを完全消失!」
- OK 例:「シェービング後の肌を整え、青ヒゲが気になりにくい印象へ導きます」
ボディコピー(悩み提示から解決策まで)
- NG 例:「毛穴を塞ぎ、雑菌を 99%殺菌」
- OK 例:「余分な皮脂を洗浄し、肌を清潔に保つ処方を採用しています」
ビフォーアフター・体験談・口コミ
加工前後の写真や数値グラフを使用する際は、撮影条件や測定方法、統計処理の詳細をデータシートに明記して保存しましょう。ユーザーコメントを掲載するときは「個人の感想であり効果を保証するものではありません」という注意書きを忘れずに入れることが基本です。
画像・ビジュアル・暗示表現
医師の白衣や聴診器、顕微鏡写真、臨床データを想起させる線グラフは「医療行為を暗示する」とみなされるおそれがあります。科学的な信頼性を示したいときは、第三者試験機関のロゴやレポートサマリーを掲載し、相手に正しい情報源を提示する方式が安全です。
エビデンス整備と保管ルール
根拠資料は「取得日」「引用箇所」「一次資料の有無」を併記し、電磁的に 3 年間保管することが義務づけられています。自社試験データを用いる場合は、試験プロトコルと統計解析手順を添付しておくと、行政ヒアリングの際にスムーズに対応できます。
広告主が負う表示責任と罰則リスク
クリエイティブ制作を外注しても、最終的な表示責任は製造販売業者に帰属します。行政処分を受けると、刑事罰として最大 2 年以下の懲役または 200 万円以下の罰金を科される可能性があります。さらに課徴金として売上の 4.5%を納付する義務が発生し、ブランド信用の毀損は一朝一夕では回復しません。
“攻め”と“守り”を両立させるコピー&運用実践編
ストーリーテリングとコンプライアンスの黄金比
ペルソナ深掘りと許容ラインの設計
例として「30 代営業職男性の青ヒゲ悩み」を取り上げます。このペルソナが求めているのは「夕方でも清潔感をキープできる安心感」です。効能表現を考える際は、治療ワードを避けつつ「清潔感」「印象アップ」など心理的ベネフィットを加えることで、薬機法ラインを踏み越えずに訴求力を保てます。
CTA 設計と購入意欲を損なわないフレージング
「初回限定 30% OFF + 返金保証※条件あり」といったオファーは効果的ですが、脚注で条件を明記しないと優良誤認にあたります。購入ボタン周辺に必須情報をまとめ、ユーザーがスクロールなしで確認できるレイアウトを心がけましょう。
社内審査を高速化する 3 ステップフロー
- 56 効能リスト・景表法チェック欄・薬機法チェック欄をまとめたレビューシートを Google スプレッドシートで共有します。
- Zapier や Slack ワークフローを使い、薬事担当 → 法務 → 最終責任者のルートで自動通知を行い、ボトルネックを排除します。
- 月額制リーガルチェックサービスを契約し、発売前後で 2 回の外部審査を必ず実施します。
生成 AI 活用時の注意点とプロンプト設計
ChatGPT などでコピー案を生成する場合は「化粧品効能 56 項目内」「医薬部外品表現を除外」「景表法を遵守」という条件をプロンプトに明示し、出力内容を人間が一次審査する手順を必ず挟んでください。
広告の“三要件”と SNS 時代の盲点
広告と判断されるのは「顧客誘引の意図がある」「特定商品名が明示されている」「一般人が認知できる状態にある」という 3 要件を満たす場合です。Instagram のタグ付け投稿や TikTok のハッシュタグチャレンジでも、商品名やブランドロゴが映れば“広告”とみなされる余地があります。UGC 施策を設計する際には、投稿ガイドラインと修正依頼フローを用意し、リスクを最小化しましょう。
ケーススタディ:ヒゲケア美容液ブランド X 社の LP 再構築
X 社は「10 万人のヒゲ悩みを解決!」というコピーによって送信停止命令を受けました。同社は以下の 3 手順で LP を改修し、審査期間を 1/3 に短縮しながら CVR 96%を維持しました。
- キャッチコピーを「青ヒゲ感※を目立ちにくく」に書き換える。
- 効果根拠をエンドユーザー 112 名のアンケート結果に差し替え、調査概要を PDF で公開する。
- 口コミに注意書きを追加し、ビフォーアフター写真に撮影条件を明示する。
データインフラと証跡管理
近年、行政はアクセスログや改修履歴の提出を求める事例を増やしています。GA4 とヒートマップを活用して UX 指標を継続的に取得し、表現変更前後で誤認が発生していない証拠を残しましょう。証跡は改ざん防止が可能な WORM ストレージに保存し、閲覧権限を職務ごとに分離することが望まれます。
2025 年以降の法改正トレンド予測
厚労省が 2025 年 1 月に公表した制度改正案では、違反常習ブランドに対して「改善計画の届出義務」を課す案が盛り込まれています。届出を怠ると課徴金割増にとどまらず、EC プラットフォームへの出店停止要請が行われる可能性もあります。法令内クリエイティブで差別化を図り、データと物語性の両輪でユーザーを説得できるブランドが今後の勝者になるでしょう。
エビデンス作成費用の目安と ROI
第三者機関によるパッチテストや使用感アンケートは 30 万円から実施できます。CVR が 2 ポイント改善すれば、月商 300 万円規模の LP であっても半年以内に投資回収が可能です。“費用”ではなく“信頼への投資”ととらえる発想が中長期の LTV を押し上げます。
成分名と機能性のスマートな言い換えテクニック
たとえば「トラネキサム酸」は“肌荒れ防止成分”、“フラーレン」は“保湿サポート成分”と表現し、詳細データシートへのリンクを用意すると、成分マニア層のニーズも満たせます。FAQ セクションにテーブル形式で整理すれば、Google リッチリザルトにも表示されやすくなり、SEO の観点でも効果があります。
まとめ
今回の記事では、最新の改正薬機法と景表法の動向を踏まえ、メンズコスメ LP を安全かつ魅力的に運用する方法を解説しました。
市場規模が拡大するほど規制が細分化されていく現実を直視しつつ、ユーザー体験を損なわないクリエイティブで差別化を図ることが、これからのブランド戦略の核心となり、薬機法は表現の自由を縛る鎖ではなく、ユーザー信頼を積み上げるレールであると考えています。
本稿のチェックリストとテンプレートをチームの Notion や Confluence に貼り付け、すぐに日常業務に取り込んでください。
「知識がある」だけではリスクをゼロにはできません。
この記事を読み終えた直後に、公開予定の LP を開いて見出しからフッターまでチェックしてみてください。
その小さな一歩が、未来のブランドロイヤルティを大きく育てます。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも一緒に頑張っていきましょう!

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