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化粧品ビジネスを始めるには、薬機法(旧薬事法)に基づくさまざまなルールや要件を正しく理解することが必要不可欠です。
特に、製造や販売に関わる区分や許可要件、さらに製品の品質や安全性を確保するための基準など、押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
今回も薬機法について、考え方やマインドセットについて扱います。
化粧品ビジネスを展開するために必要な基本的な知識や注意点を事例を踏まえて解説し、これから化粧品業界に参入したいと考えている方にとって、事業をスタートするための基礎知識を「心得」として身につける機会としていただきたいです。
メンズ美容ブランドにてビジネス展開を検討している方にも役立つ情報をお届けしますね。
1. 化粧品ビジネスにおける三つの区分け
薬機法では、化粧品ビジネスに関わるプレーヤーを以下の3つに区分しています:
- 製造販売元
- 製造元
- 発売元
このうち、製造元は実際に化粧品を製造するメーカー、発売元は製品を販売する事業者を指します。一方で、製造販売元は、平成14年の薬事法改正で新たに登場した概念であり、最終的な責任を負う「元締め」の役割を担います。
製造販売元は、製品の品質や安全性に関する最終責任を負うため、行政からの許可が必要です。
また、発売元は許可が不要であり、誰でもすぐに始めることが可能です。このため、化粧品ビジネスを始める際には、自社がどの区分に該当するのかを明確にすることが重要です。
2. 製造販売業の許可要件
製造販売元として化粧品ビジネスを行うためには、以下の要件を満たす必要があります。
i. 人的要件
製造販売元には、以下の3つの役職を設置することが求められます:
- 総括製造販売責任者
- 製品の品質や安全性に関する最終責任を負う役職です。
- 安全管理責任者
- 製品の安全性を確保するための情報収集やリスク管理を行います。
- 品質保証責任者
- 製品が適切な品質基準を満たしているかを確認します。
なお、総括製造販売責任者が安全管理責任者や品質保証責任者を兼務することは可能です。そのため、最低1名でもこれらの役割を担うことができます。ただし、総括製造販売責任者以外の者が安全管理責任者と品質保証責任者を兼務することはできません。
ii. 適合要件
製造販売元は、以下の基準に適合することが求められます:
- GVP(Good Vigilance Practice)
- 製造販売後(市販後)の副作用や適正使用に関する情報を収集・管理し、必要に応じて安全確保措置を講じる基準です。
- 製品に使用されている成分に発がん性が認められた場合、情報を収集・評価し、厚生労働省に報告します。その後、発売中止や回収などの措置を講じ、使用者に情報を提供します。
- GQP(Good Quality Practice)
- 製品が適切な製造・品質管理の下で製造されていることを確認する基準です。
- 製造を委託している工場を監査し、不適切な事項が発見された場合には改善を要求します。また、不良品が発生した場合には原因を究明し、必要に応じて回収措置を講じます。
これらの基準を満たすためには、適切な組織体制を整えることが必要です。
3. 【事例研究】メンズ用スキンケアクリームの販売
メンズ美容市場が拡大する中で、メンズ用スキンケアクリームを作り販売したいと考える企業も増えています。
どのように始めればよいのかを検証します。
- メンズ用スキンケアクリームは通常、化粧品に該当します。そのため、化粧品として販売する場合、「製造販売元」としての許可が必要です。「発売元」になること自体は誰でも可能ですが、「製造販売元」となるには薬機法に基づく許可を取得しなければならず、手続きや要件が複雑です。そのため、個人や小規模事業でスキンケアクリームを製造・販売するのは、ストレートに進めると非常にハードルが高いのが現実です。
- 一方で、化粧品としてではなく、例えば「靴用クリーム」や「革製品用保湿クリーム」として販売する場合、化粧品扱いにはならないため、薬機法の規制を受けません(このような製品は「雑品」と呼ばれます)。そのため、個人や小規模事業で製品を販売したい場合は、製品が化粧品として扱われないようにすることが重要です。
薬機法では、化粧品を「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を整え、または皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることを目的とする物で、人体に対する作用が緩和なもの」と定義しています(第2条第3項)。つまり、人体に使用することを目的とした製品が化粧品に該当します。逆に、広告やパッケージ上で人体に使用することを示唆しない表現にすれば、化粧品扱いにはならない可能性があります。
まとめ
メンズ美容ブランドを立ち上げビジネスを展開するには、薬機法に基づくルールを正しく理解し、適切な手続きを踏むことが重要です。特に、化粧品として販売する場合、「製造販売元」として事業を行うには、総括製造販売責任者の設置やGVP/GQP基準への適合など、人的要件や適合要件を満たす必要があります。これらの要件をクリアするには時間やコストがかかるため、個人で始めるには、ややハードルが高いことが分かります。
また一方で、化粧品としてではなく「雑品」として販売する場合は、薬機法の規制を受けないため、許可や届出が不要です。ただし、広告やパッケージで人体への使用を示唆する表現を避けるなど、薬機法に抵触しないよう十分注意する必要があります。
事例に挙げた「メンズスキンクリーム」を展開する場合でも、法規制を遵守しつつ、製品の品質や安全性を確保することが不可欠です。
合わせてターゲット層に最適なマーケティング施策が必要であり、これからメンズ美容ブランドとして参入していく際には今回の記事を参考に、事業計画を慎重に進めてみてください。

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